シングルセル研究の幅を拡張

timsTOF SCP

定量的なシングルセル生物学研究のための timsTOF SCPは、scRNA-seqを補完する、バイアスの無い深いシングルセルの4D-Proteomics™、immunopeptidomics、epiproteomics、PTM分析を行います。シングルセル研究の幅を広げます。

シングルセルプロテオミクスの再定義

真のプロテオームの不均一性の発見

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ハイライト

timsTOF SCP

シングルセル研究の幅を拡張

超高感度
画期的なイオン源形状の設計により、最大で5倍のイオン導入量と超高堅牢性を実現。
データの完全性
data independent acquisition-parallel accumulation serial fragmentation(dia-PASEF)は、再現性のある定量化の限界を超え、細胞の不均一性をスケールで研究する道を開く。
取得速度
高速での取得とdia-PASEFの感度により、液体クロマトグラフィー(LC)での短時間の分析が可能となり、微量のサンプルをクロマトグラフィーで希釈することなく分析することができます。
堅牢性
トラップイオンモビリティー分析装置(TIMS)への二重直交反射の導入により、装置のクリーニングなしに数千サンプルのルーチン操作が可能になりました。

特長

timsTOF SCP

シングルセルプロテオミクスの再定義

高度なイオン光学とPASEFにより、単一細胞から細胞の不均一性と生物学を調べる
質量分析プロテオミクスは、生体機能や疾患のメカニズムを理解するための現代の研究の柱となっている。一見、均質に見える健康な組織や病気の組織も、様々な異なるプロテオームを持つ細胞で構成されている。それぞれの単一細胞のプロテオームを解読するという課題、すなわち細胞の不均一性が、その機能を完全に理解するための鍵を握っているのです。

timsTOF SCPでは、イオン源のコンセプトが根本的に改善されています。パラレルアキュムレーション・シリアルフラグメンテーション(PASEF®)の取得法と組み合わせることで、単一細胞のプロテオームや、形態的または機能的に類似した少数の細胞における翻訳後修飾に取り組むための極めて高い速度と感度を実現します。

飛躍的に向上したイオン導入

timsTOF SCPでは、イオン源の形状を変更し、1mmのキャピラリーを採用することで、5倍のイオンを高圧ステージのイオンファンネルと8段の差動ポンプ式真空システムに導入しています。

このキャピラリーの大型化により、超高感度を実現するとともに、直交するイオンの反射とそれに続くファンネルにより、独立した差動排気ステージを実現し、timsTOF装置シリーズに求められるシステムの堅牢性を維持しています。

プロテオミクスの性能が飛躍的に向上

timsTOF SCP では、より高圧の真空ステージを追加することで堅牢性を維持しつつ、イオン源への透過性を向上させている。その結果、イオン電流が約5倍に向上しました(左下)。100nL/minの流速で行うEvosep One Whisperメソッドやdia-PASEFメソッドと組み合わせることで、約1.5倍の感度向上を実現しました。

PASEFメソッドと組み合わせることで、従来のEvosep Oneによるハイスループットの結果と比較して、約100倍の感度向上を実現しました。これにより、真のシングルセルレベルでのバイアスの無いプロテオミクスが可能となり、再現性、堅牢性に優れ、細胞あたり約1500のタンパク質をカバーすることが初めて実現しました。

デュアルTIMS、CCSに対応した分析

Trapped Ion Mobility Spectrometry (TIMS) 気相の状況で、一番最初の分離技術です。これにより、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や質量分析に加えて新たな次元の分離を行うことで、サンプルの複雑性を解消し、ピークキャパシティと化合物の特性評価における信頼性を向上させます。


同様に、TIMSデバイスは、所定の質量と移動度のイオンを蓄積・濃縮することで、独自の高感度化と高速化を実現しています。デュアルTIMSテクノロジーでは、前段でイオンを蓄積し、後段で移動度に応じてイオンを順次放出することで、ほぼ100%のデューティサイクルを実現しています。このPASEF®(Parallel Accumulation Serial Fragmentation)プロセスにより、CCS(衝突断面積)分析が可能になります。

CCSによる分析は、成分同定の高い確実性から、大規模なデータセットにおける信頼性があるライブラリのマッチング及び低い偽発見率(FDR)に至るまでの多くの分析の可能性を広げます。

イムノペプチドミクスやその他のエンリッチメントのワークフローに最適

timsTOF SCPは、バイアスの無い真のシングルセルプロテオミクスアプリケーションに加えて、プロテオームからペプチドを濃縮するワークフローにおいても優れた感度を発揮します。イムノペプチドミクス研究は、血漿や組織からの免疫ペプチドの精製から始まります。

免疫ペプチドはこれらのサンプル中に比較的低濃度で存在するため、timsTOF SCPは、針生検のように利用可能な材料が限られているネオアンチゲン発見のためのイムノペプチドミクスに最適です。また、timsTOF SCPは、癌のシグナル伝達経路の研究におけるホスホプロテオミクスの利用に革命をもたらす感度を備えています。

PASEF®

ペプチドイオンは、トラップイオンモビリティスペクトロメトリー(TIMS)で分離され、溶出(~100ms)した後、四重極飛行時間(QTOF)で検出され、TIMS MSヒートマップが生成されます。PASEF®法では、同じTIMS分離を用いて、四重極が溶出中の特定のイオン種を分離し、すぐに次のプリカーサーに移行します。親イオンとフラグメントのスペクトルは、モビリティ値によってアライメントされます。

PASEF®(Parallel Accumulation Serial Fragmentation)テクノロジーにより、100Hz以上のシーケンス速度を実現しています。PASEF®を使用すると、低濃度のペプチドを複数回選択することにより、MS/MSスペクトルの品質が向上します。

PASEF®: ショットガンプロテオミクスに最適なソリューション
PASEF®を搭載したtimsTOF SCPは,感度や分解能を損なうことなく,100赫兹以上のシーケンシングスピードを実現します。これは、四重極の分離質量窓を、TIMSファンネルからの特定のペプチドパッケージの溶出時間およびコリジョンセルの衝突エネルギーと同期させることで実現しています。

利点

PaSER Run & Done – バイアスの無いシングルセル解析のためのリアルタイム品質管理

timsTOF SCPは、100Hzを超えるシーケンス速度で、最小限のサンプルロード(200ng以下)で、完璧なプロテオミクスの深さで数百のサンプルを分析することができます。これにより、プロテオミクスの研究方法は大きく変わりましたが、データの増加に伴い、新たなレベルのデータ解析が必要となっています。

データ解析は、多くのワークフローにおいて共通のボトルネックとなっています。最新の分析方法では、timsTOF SCPによって何百行ものデータが生成されます。ブルカーは、リアルタイムのデータベース検索機能を導入しました。parallel database search engine in real-time(PaSER)は、このハードルを取り除きます。PaSERを使用することで、LC-MSの実行が完了すると同時に、結果を得ることができます。

MaxQuant/PerseusとPEAKS Studioのデータ処理

オープンファイルのデータフォーマットにより、研究者は生データを直接扱うことができ、業界をリードするソフトウェアを選択して使用することができます。

ブルカーのMaxQuantソフトウェアは、リテンションタイム、イオンモビリティ、質量、信号強度で構成される空間で4次元(4D)の特徴を管理するように適応されています。

強度を管理できるようになっています。これにより、ペプチド、タンパク質、翻訳後修飾の同定および定量化に役立ちます。

PEAKS Studioは、de novo sequencingと従来のデータベース検索を組み合わせ、timsTOFの生データの処理に最適化されています。

アプリケーション

dia-PASEFによる超高感度4D-プロテオミクス

自信を持って同定できるCCS対応の分析
timsControlは、dia-PASEFのウィンドウスキームをカスタマイズして、目的のイオンに焦点を当てることができます。

TIMSレンジ、サイクルタイムを調整することで、異なるクロマトグラフィーメソッドにdia-PASEFを適応させることができます。

Whisperを搭載したEvosep Oneシステムの低流量液体クロマトグラフィーとtimsTOF SCPの高感度dia-PASEFを組み合わせることで、500pgの細胞ダイジェストから2000以上のタンパク質を、250pgから1500のタンパク質を同定し、真のシングルセルプロテオミクスに必要な感度を実証しました。また、250 pgから同定されたタンパク質は、約4桁のアバンダンスレンジをカバーしており、シングルレベルでの定量的なプロテオーム解析が可能となりました。

腫瘍の微小環境の解明

疾患の進行、治療効果、患者の生存に影響を与えるためには、TMEとそれに浸潤する免疫細胞を理解することが重要なステップであると考えられます。timsTOF SCPは、その高い感度により、FFPE組織サンプルからレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LMD)によって切り出された細胞に対して、十分なプロテオーム解析を行うことができます。典型的なワークフローを以下の図に示します。

細胞マーカーを用いて,腫瘍内のメラノーマ癌細胞と間質に近い細胞を識別し、その後LMDで両集団を分離し、timsTOF SCP装置で偏りのない4Dプロテオミクス解析を行いました。

Key Finding:中心部と末梢部のメラノーマ細胞の間で制御されているタンパク質が異なることが明らかになった。結果はMatthias Mann教授のご好意により提供されました。(doi:https://doi.org/10.1101/2020.12.22.423933)

ウェビナー

お客様の声

「シングルセルプロテオミクスは私が生きている間には実現しないだろうといつも言っていたが、間違いであることが証明されて嬉しい。」

Prof. Matthias Mann, Ph.D., Director, Department of Proteomics and Signal Transduction, Max-Planck-Institute of Biochemistry, Martinsried, Germany

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